塩は人間が生きていくうえで絶対に必要である。

 

それは体内で塩にしかできない働きがあるからだ。

 

では、具体的に塩がどんな働きをしているのか?

また、塩が不足してしまうと、どのような不調があらわれるのだろうか?


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塩によって体に電気が流れる

私が薬学博士の先生に「塩をしっかり摂らないと塩ぬきになるよ」といわれたときのことである。
(参照:「1.減塩は塩ぬきの身体になる」)

その理由を先生に聞いた時、「身体には電気が流れているんだよ。塩がなければその電気の流れが悪くなる」と答えてもらった。

 

塩は、体内水分に溶け込むことで、ナトリウムイオンと塩素イオンが体中に電気を運んでくれるのである。

つまり塩水は体内水分の中で電気を通す働きがあるのだ。

 

 

人間は全身にはりめぐらされた神経が、たくさんの情報を集めとって、それを脳が処理し、命令をしている。

これらの働きは電気信号によっておこなわれているため、体内水分にしっかりと塩分がなければ電気がうまく流れなくなるのだ。

細胞を一定に保つ

塩の働きの中でさらに大切なのが細胞を保つことである。

人間の体は約60%が水でできている。

細胞の内側にも外側にも水分はあるが、塩分が溶けているのは細胞の外側の水分だ。

なぜか?

それは浸透圧によって細胞が壊れてしまうのをふせぐためである。

浸透圧とは、膜でさえぎられた水分の濃度がちがう場合、同じ濃度になろうとして薄い方が濃い方へ移動することである。

 

 

もしも、このように細胞の内と外の濃度がちがってしまうと細胞が膨らみすぎたり縮みすぎたりしてしまう。

そうならないためにも、細胞の外の水分に溶けている塩分濃度を調節することで細胞の内と外のバランスをとっているのだ。



その他の大切な働き

塩の働きは体に電気を流すことや細胞を保つという重大な働きの他にもまだ多くの役目を果たしている。

 

【消化と吸収】

塩は、胃の中で消化の働きをしている胃酸の主な成分である。そして殺菌の役目もしている。

また小腸では吸収を助ける働きもしている。

 

体を弱アルカリ性に保つ

塩は体の中の酸を中和してくれる働きがあり、それによって弱アルカリ性に保ってくれる。

 

【骨を強くする】

塩はミネラルの宝庫である(イオン交換膜法の精製塩でなく自然塩)

骨はミネラルの貯蔵庫でもあり、ミネラルが充分にあると骨が強くなる。

 

このほかにも、体温の維持、有害物質の排出、筋肉の収縮などの大切な働きをしている。

塩が足りなくなるとどうなるのか?

塩の働きの大切さをみていくと、それが不足したときの重大さがわかってくる。

 

体に電気がうまく流れず脳の指令が届かない、消化吸収がうまくできない、有害物質が排出できない・・などなど。

 

このようなことになれば、具体的には以下のような不調があらわれることになる。

 

塩不足による不調

食欲不振、しゃっくり、ゲップ、吐き気、下痢、便秘、腹痛、胃下垂、胃弱、胃かいよう、貧血、めまい、
頭痛、肩こり、腰痛、冷え、生理痛、生理不順、どうき、息切れ、性欲減退、認知症、ストレス、
うつ、ひきこもり、視力低下、疲れ目、熱中症、骨折

このような具体的な不調をみて気がつかないだろうか?

 

そう、私たち現代人が悩んでいる不調の多くがあてはまるのだ。

 

しかし、だからこそ、塩不足に気がつきにくい盲点がそこにあるのではないだろうか?

普段、起こりがちな不調だからこそ、病院にいって症状を訴えても、原因が根本的な塩不足だとは気づかれず、
病名がつかないただの疲れ過ぎなどと言われてしまうのだ。

それどころか、血圧検査で、少しでも基準の数値を超えてしまえば、高血圧と診断されて「塩分を控えるように」と言われてしまう。

ひどい場合では、降圧剤を処方され、ただでさえ塩が足りない体なのに、さらに塩ぬきの体にされてしまうこともある。

 

 

これでは不調の改善ができるはずもなく、さらに大きな取り返しのつかない病気に成長してしまう恐れもでてくる。

そもそも多くの人が常識だと思っている「塩の摂りすぎ=高血圧」の図式は正しいのだろうか?

1.減塩は塩ぬきの身体になる」でも触れたが、さらにこの疑問について詳しく探ってみる必要がある。

次回、「9.塩と高血圧の関係」つづく・・・