人間の体内のうち、60%は水である。
SFドラマ「スタートレック」で、地球の乗組員たちが、水分を一滴も含まない異星人から、「水の袋め!水の袋め!」とやたらと呼ばれるシーンがある。
私はそれを見て、「そうか、異星人から見たら、地球人ってのは水に見えるんだな」とびっくりした。
私たちはどこかで水の存在を当たり前だと、忘れがちになっていないだろうか?
自分の体内の60%の水についても、周りの生活用水、自然の水についてもである。
本当の健康を考えるのならば、体内のほとんどを占める水と、周りの水のこともっとを詳しく知らなければならない。
というわけで、今回から人間の健康、そして地球の健康の基本でもある「水」について7回にわたって探っていきます!
例によってかなり視野を広げて探っていきますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
まず最初は人間の体内の60%の水がどのような働きをしているのか?
しっかり基本をおさえておこう!
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体内水分の大切さ
人間の60%を占めているのは水なのに、私たちは今いちその実感がわかない。
それもそのはず、体内の水分は目で見ることができない。ときおり尿や汗や涙で見るくらいだ。
だから私たちはつい体内水分のことを忘れて、健康になるため、ほかのことにセッセッと頑張ろうとしてしまう。
しかし、それでは本当の健康にはなれない。
まずは体のほとんどを占める水分のことを知り、その水をきれいにすることを考えるのが先なのだ。
血液は栄養の運び屋
人間の体内水分で真っ先に思い浮かぶのが血液だ。
「血液は水」 「水は血液」
と言われるように、血液は人間の中を流れる川である。
地上でも川が物を運ぶために使われるように、体内でも血という川を使って隅々にまで栄養や酸素が届けられていく。
そして、もういらなくなった老廃物を受け取り、血は体内をめぐり続ける。
腎臓は血液のろ過装置
老廃物を受け取った血液は腎臓でろ過されてクリーニングされる。
観賞魚を飼っている人ならば、水槽の上に乗っている、ろ過装置が腎臓の役割をしていると考えるとわかりやすい。
魚のフンなどで汚れた水はポンプによって吸い上げられ、ろ過装置のフィルターを通ることできれいになり、また水槽の水に戻っていく。
これと同じことが体でも行われている。
もし、腎臓のろ過がなければ血液は汚れたまま体をめぐることになってしまう。
さらに腎臓はもうひとつ大きな役目をもっている。
体内の水分調整だ。
真夏に汗をたくさんかいて体内の水分が減ると、腎臓は尿を濃縮させ量を減らし体内水分が減らないようにする。
逆に水をガバガバ飲んだりすると、尿をたくさん出して、体内の水分量を一定に保ってくれる。
このように「体内の水分量がきちんと調整される」ということはとても重要な意味をもっている。
それは、体温調整だ。
私たちが生きている地球はコロコロと気温が変わる。
水という物質は保温性が高く、また少量の蒸発で体温を調節できるため、生物にとっては温度を調節するのに最適なのだ。
暑くなったり寒くなったり、コロコロ変わる気温の中で、もしも体内に水がなかったら、一定の体温を維持することができない。
たとえば真夏なら体温は100度くらいまで上昇して死んでしまう。
体内水分の居場所
人間の体内水分は体重60kgの人で約36リットルである。
「水分は血液」というイメージがあるが、じつは血液やリンパ液などの細胞外の液体は全体の3分の1に過ぎない。
残りの3分の2は細胞の中に含まれている。
では、水分がある場所と種類、そして量をくわしくみてみよう。
体内水分のある場所と種類
3分の2 細胞の中・・・・・・・約24リットル
3分の1 細胞の外
血液の血しょう(血管の中)・・約2.5リットル
脳脊(脳脊髄腔)・・・・・・・約150ミリリットル
リンパ液(リンパ管の中)・・・約4.5リットル
間質液(組織間隙)・・・・・・約5リットル
このように、血液やリンパ液が体内を流れる川ならば、陸地であるはずの細胞もじつは水分をたっぷりと含んだ湿地帯ということになる。
まさに体は水。
スタートレックの異星人が言ったように私たち、地球人は「水の袋」なのだ。
体内水分の汚れで起こる不調
私たちは「水のふくろ」なわけだから、水が汚れるということはすべて汚れているのと同じである。
なかでも体内の川である血液が汚れてしまうと、さまざまな不調がおこる。
1位・・・ガン
2位・・・心疾患
3位・・・肺炎
4位・・・脳血管疾患
日本人の死亡原因はこのようになっている。
今までは、心筋梗塞ならば心臓の病気、脳梗塞ならば脳の病気として個別に考えられていた。
だが近年は、これらの病気が血液がドロドロになったり、血管がもろくなってしまったのが根本的な原因だとされるようになった。
心筋梗塞や脳梗塞は、病名も、かかる科も違うが、結局は同じ血液や血管のトラブルでおこるのである。
ということは、2位の心疾患と4位の脳血管疾患は同じだとすると、1位のガンにせまる勢いになるのだ。
それだけ、いま多くの人が血液と血管のトラブルを抱えているということなる。
では、自分はどうなのか?以下の項目でチェックしてみよう!
- 赤ら顔になっていることがよくある
- 目の下にクマができやすい
- 歯茎から出血しやすい
- 皮膚の毛細血管が浮き出ている
- 皮膚の毛細血管にくも状血管腫がある
- 黒い色の便がでる
- 便秘がちだ
- 鼻血が出やすい
- 唇が紫色
- 爪の色が紫色
- 月経痛がひどい
- 月経血(生理の時に生じる血液や分泌液)が少ない
- 月経血が多い
- 下肢の静脈痛
- 身体がむくみがちである
- 汗をほとんどかかない
- 汗を大量にかく
- 花粉症などのアレルギーがある
- 頭痛や肩こりが慢性的にある
- 冷え性だが身体がカーッと熱くなることがある
- 熟睡できず睡眠不足が続いている
これらの項目に半分以上あてはまる人は、血液や、その他の体内水分が良くない状態になっている可能性が大きい。
では、私たち人間の60%占める水をどうすれば綺麗に状態良くすることができるのだろうか?
それにはグンと視野を広げて、そもそも水とはなにか?をくわしく探っていかなければならない。
次回、「2.地球と人間の水の循環」つづく・・・